岡野氏

慶應義塾大学
再生医療リサーチセンター長
教授

岡野 栄之

ご挨拶

昭和女子大学昭和小学校第13期(1971年卒)の岡野 栄之です。当時は、「巨人の星」のようなスポーツ根性ものの番組が流行っていた昭和の真っ只中の、ある意味古き良き時代に、初等部で鍛えて頂きました。初等部在学時代は、本当に素晴らしい教育をしていただいたと心から感謝しております。人見楠郎・校長先生から、目あてをさして進む人、からだを丈夫にする人、まごころを尽くす人という3つの目標を目指しなさいという教育方針のもと、色々な意味で自己研鑽を積むことができたと思っております。今から思い返してみれば、この3つの目標は、私のその後の人生で、医師として研究者として成長していく過程において、大きな支柱となりました。また、毎年恒例の総合学習では、自ら問題・課題を探索し、自らそれを解決し、そしてその成果を誰に対しても分かり易く説明するという研究者としての基本中の基本を知らない間に身につけることが出来たことに感謝しております。

初等部卒業後、私は世田谷区立山崎中学校、慶應義塾志木高等学校に進学しました。高校時代は当初物理学者になりたいという憧れを抱いていましたが、波動方程式の研究でノーベル物理学賞を受賞されたシュレディンガー博士の「生命とは何か」という著書に感化され、生命科学に興味を持つようになり、それがきっかけで医学部進学を決心するに至りました。その後、1977年には慶應義塾大学医学部に進学し、卒業後は神経研究を専攻し、将来的には脊髄損傷や神経難病の治療につながる研究をしたいと思いました。その間、かなりの心の葛藤がないわけではありませんが、初等部時代の総合学習の「自ら問題・課題を探索し、自らそれを解決するという」経験で乗り切れました。以来40年以上、神経研究の領域で、今日まで何とかやって来ております。今年3月、長年勤めました慶應義塾医学部・教授を定年退任しましたが、4月より慶應義塾大学再生医療リサーチセンターを新たに開設し、そのセンター長・教授として、ライフワークである神経系の再生医療と難病研究を続けております。今も、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)の客員教授や国際学会の理事を務めておりますが、長年の研究生活の中で感じたことは、国際連携の強化と早期の英語の習得の必要性です。現在、初等部が国際コースの設置により、将来国際的に活躍する人材の育成に全力で取り組み始められましたこと、大変素晴らしいと思っております。できる限りの応援をしたいと思っております。

今後、初等部の同窓会組織の桜友会で責任のある立場に、現・平原会長からご推薦いただく運びとなりました。全く経験がなく、非力ではありますが、全力を尽くし、桜友会と初等部の発展に尽くしたいと思います。皆様、これからも、ご指導・ご鞭撻のほど、どうぞ宜しくお願い申し上げます。