今年3月に家庭の事情等があり、校長職を退任させていただきました。5代目の小泉校長から、重く責任あるバトンを引き継がせていただき、多くの方々に支えられての3年間でした。この間、いろいろなことがありましたが、やはり、昨春からの新型コロナとの戦い?(今でも続いておりますが)は、これまでに経験のないことであり、試行錯誤の連続でした。
コロナ禍での休校対策として、一番重要なのは、子どもたちの学びを止めないことで、オンラインでの授業作りでは、双方向授業へと拡張することができましたが、これは、「先生皆がユーチューバー」となり、皆でICTのスキルアップを図り、先生方が一丸となって力を尽くした賜物と思っています。また、日々の万全な感染対策のもと、学園や研修学寮職員の方々のご協力・ご尽力により、例年行っていた行事や活動を可能な限り実施することができ、大変ありがたく思っております。そのおかげで、子どもたちは我慢を強いられる生活の中でも、楽しみを見つけ、苦境を乗り越える術を学び得たように思いました。
これまで、昭和学園に奉職して38年。初・中・高・大学と、いろいろな年代の子どもたちの教育に携わらせていただきました。小学校は、その中でも、人としての基礎が形成される大事な時間であり、人生に一番大きな影響を与える時期と思っています。その時代を、心ひとつに子どもたちのために尽くしてくださる方々に包まれ、よき友とともに学べる昭和っ子は、とても幸せな学校生活を送っていると思いました。
毎年、春分の日は、初等部の卒業式です。今年も109名の卒業生が巣立っていきました。子どもたちに退任は伝えていませんでしたが、自分の心の中では、最後のメッセージとして、目には見えない心の学びの話をしました。「これまでの経験は、すべてが学びであり、無駄なものなどひとつもなく、必ずしもすぐに役立つものではないものもあるが、しっかりと身につき、長い人生の中で、いつか役立つときを待っている。そして、学んだものすべてをもって、人に尽くせるような慈愛に満ちた強い人になって欲しい。まずは、空間的・心理的に同じ立ち位置で、上から目線にならず、横に『寄り添える人』に、そのうえで、『手を差し伸べられる人』になって欲しい」と話しました。
昭和学園は昨年創立100年を迎え、次の新しい100年がスタートしました。これから20年30年先の未来は、予想のつかない時代です。これまでの昭和での学びを糧に、「世の光となろう」を目指し、着実に前進していって欲しいと思います。
これまでは、毎日、子どもたちの、そして、学校の変化を見てきましたが、これからは、少し離れたところから、子どもたちの成長を願いつつ、陰ながら見守っていきたいと思っています。
最後になりましたが、昭和小学校の卒業生の皆さま、これまで、いろいろとご協力をいただき、ありがとうございました。これからも後輩たち昭和っ子への応援、どうぞ、よろしくお願いいたします。
柴田芳明